郵便局の地方創生

地域に根ざす郵便局が行なっている様々なサービスや取り組みをご紹介します。

復興への思いを届ける郵便局のネットワーク

近畿地方会
大阪市 東部地区
東成中本郵便局 安達元秀局長


熊本の子どもにあやとりひもを

2016年4月に相次ぐ大きな揺れで多くの人が被災した熊本地震。一時は避難者の数が20万人にも上り、8万棟以上の住居で倒壊や損壊が見られたといいます。仮設住宅の建設と入居が進んでいますが、7月上旬の時点でも未だ5000人余りの人たちが避難所生活をしていて、復興にはまだまだ多くの時間が必要です。

「被災した子どもたちの笑顔を取り戻すために、できることはないだろうか」――大阪市東成(ひがしなり)区で靴紐やベルト、サスペンダーなどを製造する、森製紐(せいちゅう)株式会社では、自社製品の“あやとりひも”を熊本に住む子どもたちのもとに届けたいと考えました。その思いに共感し、全国津々浦々に展開する郵便局のネットワークを活用して取り組みに協力したのが、東成中本郵便局です。

細やかなネットワークがいち早い復興を実現

東成中本郵便局は、あやとりひもを用意した森製紐のすぐ隣にあり、郵便のやりとりなどで日頃から頻繁に関わりがあります。森製紐の社長と東成中本郵便局の安達局長とは、20年以上のおつき合い。何でも遠慮なく話し合える関係です。

大阪といえば、1996年に発生した阪神・淡路大震災で特に被害の大きかった神戸からもすぐ近く。震災当時、安達局長は神戸の郵便局に手伝いに出向き、ライフラインがストップすることで人々の暮らしが困難になる様子を見てきました。そうした中、細やかなネットワークを活かし、地域においていち早く復旧していく郵便局の姿を目の当たりにしたのです。

郵便局長同士のつながりが、思いを届ける


以来、全国各地の郵便局長とのネットワークづくりに力を入れてきた安達局長。今回のあやとりひもの送付を相談した熊本県の山江郵便局の嶽本雄一局長も、全国に400人以上いる局長仲間のひとりです。

その嶽本局長に地震で特に被害の大きかった益城町の総領(そうりょう)郵便局の局長を紹介してもらい、県内20近くの郵便局にあやとりひもを届けることに。準備したあやとりひもの数はおよそ8000本。これほどの数になると軽トラック1台分にもなります。地震の影響でイレギュラーな対応に追われる郵便局に配慮し、一度に送らず、5月の下旬頃から6回程度に分けて送ることにしました。

それぞれの郵便局に届いたあやとりひもは、エリアの小学校や幼稚園、避難所などに配り、子どもたちの手に渡ります。自身が被災しながらも、地域のために何かしたいという熊本県内の郵便局からも、感謝の声が届いているそうです。


「あやとり取って 手を取って みんなで助け合って乗り越えましょう。1日も早い復興を祈ります」あやとりひもに添えられたメッセージは、まさに郵便局同士のつながりにもいえることだと、安達局長。今年秋に予定している部会旅行では熊本を訪れ、あやとりひもを届けた総領郵便局を訪ねてみたいと、さらなるネットワークづくりに力が入ります。