全特 2017年2月特別号
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「雲海Harbor」を楽しんだあと、山麓の昼神温泉郷に立ち寄ってみました。昼神温泉郷は、実は開湯四十年ほどと新しい温泉。JRが国鉄時代の一九四八年、国鉄中津川線の調査ボーリング中に湧出し、現在は二十軒の旅館が軒を連ねる温泉郷となっています。 この温泉郷は〝奇跡の温泉地〟ともいわれます。温泉の湧出が偶然の産物なら、全国の温泉地の観光客が減少の一途をたどるなか、ここ数年、観光客数を伸ばし続けているからです。その要因には、地元行政・官民の観光部門、旅館・飲食店・商店などが一丸となって取り組む施策があります。地域通貨の一種のスターコインもその一つです。 昼神温泉郷の朝市に立ち寄ってみました。温泉郷の中心にある朝市広場に数十の出店が並びます。朝市も毎日開催されていることが、「いつ行っても楽しめる」という好評価に繋がっています。大和朝廷の古の道東山道を歩く 東海道、中仙道などのいわゆる江戸時代の五街道とは異なり、五街道が整備された約九〇〇年前に、京都・近江と楽しめる通年型の高原リゾート地です。そのヘブンスそのはらでは「天空の楽園」を標榜し、星空を見上げる「ナイトツアー」や雲海を見下ろす「雲海Harbor」などの観賞イベントを実施しています。 晩秋の早朝、「雲海Harbor」を観賞してきました。夜明け前の五時半に動き始めた富士見台ロープウェイとスキー場リフトを乗り継いで、スキー場最上部の雲海展望台へ。その日は薄曇りで日の出を拝むことはできなかったものの、眼下の阿智村さらに伊那谷全体が雲海に包まれました。まさに壮大な雲海に船出する船のへさきに立っている気分です。 このヘブンスそのはらでは四月中旬から十一月上旬に、「星空ナイトツアー」が毎日、実施されます。夕暮れから深夜までロープウェイを稼働し、「天空の楽園」から満天の星を楽しむツアー。訪れる観光客は息を飲むような絶景、感動的な星空に、思わず涙がこぼれてくる観光客もいるでしょう。 実はヘブンスそのはらは「恋人の聖地」としても知られています。カップルで見渡す限りの星空を見上げ、その感動のうちにプロポーズ。その足で星のデザインされた婚姻届を阿智村に提出する人も多いとか。地域創生の村・阿智村を歩く 「観光立村」による地域創生をめざす長野県阿智村。その南信州の山村を訪ねてみました。雲海探訪のあと昼神温泉郷をそぞろ歩く 人口六八〇〇人の阿智村は東京圏・中京圏の間にあり、どちらからも距離は決して遠くはないのですが、〝秘境駅〟が連なるJR飯田線からも離れ、交通の便が限られています。 この阿智村にはいくつかの温泉があり、大きな温泉地は昼神温泉郷。その昼神温泉郷の西の山に広がるのが「ヘブンスそのはら」。スキーにハイキングにと、四季を通じて31231昼神温泉の朝市 昼神温泉では温泉街の中心にある朝市広場で、毎朝、4月~10月は6:00~8:00、11月~3月は6:30~8:00まで朝市が開催される。商品は昼神温泉周辺の農林産物や加工品、水引細工などの民芸品のほか、パンや菓子とバラエティも豊か。20代から90代まで出店者の年代もさまざまで、温泉客には若いカップルも多い。2信濃比叡  東山道の神坂峠の難所を通る人たちの宿泊所として整備されたといわれる廣拯院。現在は、信濃比叡と「比叡」の呼称を許され、根本中堂には延暦寺から分灯された「不滅の法燈」などがある。毎年2月11日には、大火生三昧と呼ばれる火渡り護摩の行事が行われる。3昼神温泉足湯 昼神温泉では20軒の旅館で立寄り湯を受けつけているほか、足湯は、GWには花桃に包まれる「あひるの湯」と、朝市広場に併設されている「ふれあいの湯」がある。阿智川の清流を愛でながら、足もとからほっこりと暖まるのもいい。07

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