ZENTOKU 2017年8月夏号
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犬山市は、「尾張の小京都」と呼ばれる歴史の息づくまちです。特に戦国時代の歴史ファンなら、城・城趾めぐりに何度も足を運ぶ方も多いことでしょう。最近のトピックとしては犬山祭の車山行事(四月巡行)がユネスコの無形文化遺産に登録されました。 犬山市に所在する博物館明治村は、明治から大正時代にかけての建造物を移築した歴史テーマパークです。収蔵物には近代化遺産に指定されている建造物が多く、テレビや映画のロケ地としても有名です。 歴史上の建造物に出会えること、往時のSLや市電の乗車体験、明治時代のレシピをアレンジしたメニューを揃えたレストランなど、リアリティに富んだ時間旅行のできることが、人気の秘密となっています。 明治村内にある宇治山田郵便局舎は、木造郵便局舎としては現存する唯一のもので、重要文化財の指定を受けています。 宇治山田郵便局は、伊勢の宇治山田に明治五年に設置された山田郵便役所が始まりです。やがて、電信電話事業も行うようになると、移転を繰り返しながら局舎も拡大していき、明治四十二宇治山田郵便局舎。木造平屋建銅板葺で、円錐ドームの屋根が特徴。外観はハーフティンバーと呼ばれ、漆喰塗と柱・梁などの骨組みがむき出しになっており、ヨーロッパを彷彿とさせるコントラストが美しい。玄関に飾られたしめ縄は、建物の旧所在地・伊勢で一年を通して飾られていたものを明治村でも踏襲。ドームの窓からは日差しが差し込み、チューリップ型のシャンデリアがぶら下がる。ドームの下が「公衆溜」と呼ばれたホールになっている。(写真右)歴代ポストなどの展示も。(写真左)宇治山田郵便局舎の入口に建つ明治20年制定の柱型ポスト(復刻)。『郵便現業絵図』(明治18年)にも見える私書箱。(『郵便現業絵図』郵政博物館提供)03

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