ZENTOKU 2017年9月特別号
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地方創生❷ 南魚沼市 私は二〇一六年十一月の終わりに市長に就任したばかりで、半年ちょっと経ちました。 南魚沼市は人口約五万八〇〇〇人で、近隣の十日町市と湯沢町と同じような状況です。魚沼産のコシヒカリ、中でも南魚沼産のコシヒカリは、産地として一番中心的な役割を担っているという自覚のもとで取り組んでいます。また、冬にはウィンタースポーツ、四季を通じて山岳などのアウトドアスポーツに恵まれた地域という特性を活かし、昨今の人口減の問題等に取り組んでいきたいと思っています。 このなかで、私がどうしても実現したいと思っているのは、市出身者の就業を市内で、ということです。人口五万八〇〇〇人の南魚沼市で高校三年生は約五〇〇人。このなかで、卒業して地元に残る人が約一〇〇人、四〇〇人が進学や就職で市外に出ていきます。このなかで大学などを卒業して地元に戻ってくる人の数は約一〇%。この構図はずっと変わっていません。この構図をどうにかして打ち破りたいと考えているのです。「U&Iときめき課」で就業支援 私は市長に就任してすぐに二つの課をつくりました。一つは「U&Iときめき課」。Uターン・Iターンを促進する施策を進める部署です。 我々大人は、これまでずっと南魚沼には仕事がないと、子どもたちに言い続けてきた。仕事がないので「お前たちは勉強して上を目指し、地域から離れていけ」と。子ども林茂男ました。 今、それもまんざら夢でない状況が生まれていて、一ヶ月経って県内では二番目となりました。全国ではおそらく一五〇〇から一六〇〇くらいの自治体が取り組んでいると思いますが、順位的には六十九位。今はスイカ、米、キノコ、スキー、温泉と一年を通した返礼品を揃え、「真剣にやれ!」と檄を飛ばしています。 なお、このU&Iときめき課は日本版のCCRC(Continuing Care Retirement Community)構想として全国的にも注目を集めています。生涯スポーツ課でフリースタイルの聖地に もう一つの部署は、「生涯スポーツ課」です。学校教育と社会教育という枠組みが自治体の教育にはあり、この社会教育を二つに分け、一つは社会教育をそのまま残し、もう一つを生涯スポーツ課という名称にしました。 この課は何をしているか。南魚沼市にはスキー場があり、そこにモンスターハーフパイプ(大きくU字型に雪をくりぬいた施設)を初めて公の施設としてつくりました。この冬は各種の国際戦などを企画していきたいと思っています。 また、その隣にはトランポリン施設をつくりました。従来の体育館を改造し、オリンピックにも使用できる施設です。なぜつくったのかと言うと、ハーフパイプの競技で雪国南魚沼市の挑戦南魚沼市長たちには、本当は帰ってきてほしいと心から願っているのに、それを子どもに伝えずにきてしまった。それが今の結果に繋がっているのです。 しかし、今の雇い主、企業の皆さんはまったく逆の話をされていました。仕事があり、実は人材が本当に不足しているという話です。 ここは冬期間、特に有効求人倍率は三倍、全国のトップレベルです。東京をはるかにしのぎ、新潟県内でも一番。ふさわしいマッチングした仕事であるかは別にして、仕事は溢れている。マッチングは我々が、これから「U&Iときめき課」でつくり出していかなければなりません。 子どもたちが出ていった先は全部わかります。そこで、子どもたちが就職活動をする手前で、我々が「できれば帰ってこい」という本当の気持ちを伝えることが大事だと思い、「U&Iときめき課」では、出張による就職相談会、就職説明会を始めました。ようやく数回、そう簡単なことでないことはわかっていますが、ここから始めない限り一歩も前進しないと思い、取り組んでいます。 さらに、この課ではふるさと納税にも取り組んでいます。新潟県内でも、この五月まで取り組んでこなかった珍しい市ですが、どうしても魚沼ブランドを世に知らしめ、評価をきちんと受けてみたいという気持ちから横断的に若者職員が取り組んでいます。 四年以内に県内一番を獲りたいと当初は大見得を切っていましたが、「それでは手ぬるい」と市長に就任して一週間後に若い主任に呼び出されたときは、涙が出る思いがし南魚沼市新潟県08

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