ZENTOKU 2018年冬号
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千葉県いすみ市長太おお田た 洋ひろしさん地方創生の実現に向けて、全国で地域に即したさまざまな施策が行われています。今回は、「美食の街づくり」による地方創生「美食の街いすみ~サンセバスチャン化計画~」*を展開されている、いすみ市長にお話を伺いました。──いすみ市は、「食」をテーマに、さまざまな施策を展開していらっしゃいますが、一番ホットな施策をお聞かせください。 人口減少や少子高齢化に直面している中で、「いすみ市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、経済の好循環、所得の向上、人口減対策、地域の魅力向上という四つの目標に全力で取り組んでいます。 その中でも特に、基幹産業である第一次産業の活性化こそが必要であると考え、いすみ市の優れた農水産物を活かした「美食の街いすみ」「有機の里」の実現を目指しています。毎週日曜日に開催される港の朝市には、たくさんの買い物客が訪れます。 農水産物について、市内外で商談会を開催したところ、大変高い評価を受け、直接取引が始まるだけでなく、ミシュラン星付きのレストランのオーナーシェフをはじめ、こだわりを持つ料理人の方々が、いすみ市の食材を求めてくれるようになってきました。 将来的には、こういった料理人の方々がいすみ市でレストランやオーベルジュを開設し、世界中から食を求めて人が集まるまちを創っていきたいと考えています。──2020年の東京オリンピックでは、サーフィン競技が外房地域で開催されますが、世界へ向けてPRしたいいすみ市の魅力をお聞かせください。 いすみ市は、里山と里海、両方の魅力があります。魚種の多さでは長良川に次いで全国第2位を誇る夷隅川、太東海浜植物群落など、何度訪れていただいても、新しい発見があります。サーフィンだけでなく沖釣県庁職員を経て、1999年に旧岬町長選で当選。2期途中の2005年12月に旧夷隅、大原、岬の三町の合併で誕生したいすみ市の市長選に出馬して当選し、初代市長となった。子ども医療費の無料化など、特に子育て支援で県内自治体の中でも先行する手腕を発揮。災害対策の推進など、多方面からの施策を行っている。「郵便局とのお付き合いは、小学生の時から。農家から卵を集荷し、販売店へ運んだ駄賃を握りしめ、子ども貯金へ預けていました」と微笑む。信条は“思えば、思われる”。心がけていることは“いつも前向き”。リーダーインタビュー新時代の料理人コンテスト、RED U-35(RYRININ’s EMERGING DREAM)における優績料理人たちが、結成するCLUB RED。2016年からいすみ市は、CLUB REDと共同で地域の食材を生かしたプロジェクトを策定。活動報告・情報が満載のフリーペーパー。りなどのアウトドアも楽しめます。 守りたい伝統・文化に、大原はだか祭りをはじめ、上総十二社まつり、長者・中根十三社秋祭りといったお祭りがあり、毎年非常に盛り上がります。また、美しい風景や素朴な人情は森鷗外や竹久夢二など多くの文人に愛され、昔からその足跡が市内に散在しているほか、全国的に広く愛唱されてきた童謡や民謡のふるさとでもあります。──郵便局で初の取扱いとなる「いすみ市ふるさと納税」を企画され、高い実績を挙げられています。今後、郵便局との協力体制には、どのようなものがありますか? 平成二十九年四月二十七日に「いすみ市といすみ市内郵便局との地域における協力に関する協定」を締結し、郵便局には、業務に支障のない範囲で、地域の高齢者、道路の損傷、廃棄物等の不法投棄に関する情報提供や、災害時における協力を行っていただくこととしています。 特に、高齢化が進んでいる中で、在宅の高齢者を見守る仕組みとして、「いすみ市高齢者見守りネットワーク事業」に取り組んでいます。 この事業は、郵便局員の方が、業務中、高齢者の異変に気付いた時に、市に連絡していただくというものですが、更にこのたび、郵便局の「みまもりサービス事業」を、ふるさと納税の返礼品としました。 地域に根差した事業を行い、地域の実情に明るい郵便局には、蓄積されてきた情報やネットワークを活かして、地域に貢献していただきたいと考えます。3*サン・セバスチャンは、スペイン・バスク地方の地方都市。大西洋に面し食材に恵まれているものの、目立った産業や観光資源がなかったが、伝統食をアレンジした「新しい食」で観光客を呼び込もうと、地域ぐるみで取り組み、近年では「ヨーロッパの美食の都」と称されるまでに成長した。菜の花畑を走るいすみ鉄道23

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