ZENTOKU 2019年冬号
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おり、平成三十一(二〇一九)年のグランドオープンには、カフェやレストラン、駅前広場も含めて完成の予定となっています*6。 門司港レトロ地区には、旧門司三井倶楽部、九州鉄道記念館(旧九州鉄道本社)、旧門司税関、日本郵船、北九州市大阪商船、ドックやビール工場など、数々の見どころがありますが、門司港から徒歩一〇分ほどのところにある、NTT門司電気通信レトロ館(旧NTT門司営業所*7)は必見です。郵政建築を代表する建物で、電信・電話で活躍してきた古い設備や過去を語る貴重な資料などが保存され、その一部が一般公開されています。❖ ❖ ❖ 門司港を出発し関門海峡を船で渡ると、一〇分で下関の唐戸港へ到着。関門の台所、唐戸市場は目の前です。明治以来の歴史があり、魚市場だけでなく農産物の直売所もあり、卸売市場と市小売市場の両面の機能を持つ、全国でも珍しい市場で、観光客にも人気のスポット。市場価格でふく刺しや、新鮮な魚を味わうことができます。 賑やかな唐戸市場から国道を挟んで、落ち着いた街並みの中に下しもの関せき南な部べ町ちょう郵便局と秋田商会、旧下関英国領事館の重厚な建物が建っています。煉瓦造、二階建ての下関南部町郵便局は、現存する最古の現役郵便局舎で、明治三十三(一九〇〇)年、赤あか間まが関せき郵便電信局として建てられました。北九州市旧門司三井倶楽部。1階は、門司港名物・焼きカレーのほか、和洋両方の料理が楽しめるレストラン、2階には、「放浪記」で知られる林芙美子(門司区出身)資料館が設けられ、アインシュタイン夫妻が宿泊した部屋がメモリアルルームとして公開されている。門司電気通信レトロ館(旧逓信省門司郵便局電話課庁舎)。建物の入口に建つのは、明治33(1900)年10月に東京・京橋に出来た日本最初の公衆電話ボックスの復刻版。灯台をモデルにしたデザイン。門司港局長・生田健一さん。「2017年4月に就任しました。地元密着型の郵便局(旧特定局)とは勝手が異なり戸惑いましたが、地域の方々への挨拶回りから始め、局内では社員の意識改革に取り組みました」。今では、地域との結びつきは固く、2018年には、三井倶楽部で供される「焼きカレー」を郵便局のお歳暮商品として提案し、好評を得ました。門司港名物、焼きカレー。基本のレシピは、カレーライスに生卵を落とし、チーズを乗せて焼いたもの。各店舗で工夫を凝らし、味を競っている。バナナが大量に輸入されるようになったのは、明治40年以降。地理的に近いことから、台湾からのバナナが門司港から輸入され、市場が開設された。熟れすぎなど、早めに売りさばく必要のあるバナナを、独特の口上で叩き売ったのが始まりとされ、日本遺産構成要素の一つとなっている。発祥の碑は駅前に建っており、定期的に実演販売も行われている。本館、車両展示場、ミニ鉄道公園の3つのエリアがあり、本館は明治24(1891)年に建築された赤レンガ造りの初代九州鉄道本社社屋が活用されている。鉄鍋餃子のフォルムカードと門司港郵便局の風景印*6 以前2階にはみかど食堂というレストランと貴賓室があり、社交場として賑わっていた。この歴史を踏まえ、グランドオープンには、2階に洋食レストランもオープンする。*7 大正13年、逓信省門司郵便局電話課庁舎として建てられた。設計者は、逓信省技師山田守氏。日本武道館や京都タワーの設計者としても知られる。建物の外観は、放物線アーチと垂直線を基調とした、「ドイツ表現主義」に通じる手法が用いられている。火災の際、ガラスの損傷を防ぐための「内田式流水防火装置(現在のスプリンクラー)」も設置されており、昭和20年の門司大空襲の際にも役立ったと言われている。04

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