市政にも大きな影響があり、国や県とともに市も緊急コロナ対策に取り組み、一五億円規模の市独自の緊急対応も行なっています。―具体的にはどんな取組みを？ 新型コロナ対応にご協力いただいた飲食店などには、店頭に県のステッカーとともに〝鬼滅〞ならぬ〝コロナ滅〞を願う市製ステッカーを貼ってもらい、あわせて補助金を支給するなどの対応に取り組んでいます。 秋冬に向けては、六五歳以上のインフルエンザワクチンの接種を無料にする制度もいち早く取り入れました。 太宰府市には、「疫病封じ」の寺社仏閣が多くあります。新しい観光ルートを模索中です。―観光客数の減少は市の財政にも大きな影響を与えたのではないでしょうか？ それは、もともと厳しくて（笑）。皆さん、太宰府市は観光客も多く市の財政も潤っている印象でしょうが、実情は狭い市域に寺社仏閣などの宗教法人、大学などの学校法人も多く、アクセスのよさから観光客は多いのですが、ホテルや旅館などの宿泊施設や企業は少ないのです。市から見れば、固定資産税などの税収に乏しく、もともと歳入が少ない市であり、市民から見れば充実した住民サービスを受けることが難しい市なのです。 これは長年の課題で、市としても、昨年度四倍、―太宰府市は九州のターミナル駅博多に近く、太宰府天満宮をはじめ神社仏閣も多く、歴史豊かな観光のまちというイメージがあります。まず、市長として感じる太宰府市のよいところを教えてください。 太宰府は確かに多様な歴史や風土に彩られた市で、古くは京都・奈良とともに国の政治・外交・防衛の要衝でした。九州で最もハイカーの多い宝満山という霊山があり、最近では鬼と戦う少年の成長や友情を描いた『鬼きめつ滅の刃やいば』という漫画が幅広い世代にブームで、ファンたちが市の「宝満宮竈かまど門神社」を〝聖地〞として訪ねています。「令和」の元号も太宰府にゆかりのある大伴旅人が主催した「梅花の宴」に由来があります。 今は市内に大学が五つあり、国立の九州博物館もあります。歴史を大切に思い、文化を育み、教育にも力を入れている、そんな市です。 疫病封じの思いを込めて―その太宰府市にとって新型コロナウィルス感染症の影響は大きかったのではないのでしょうか。 そうですね。この四〜五月の観光客数は前年同月比で九六％減。七〜八月で八〇％減ですから壊滅的ダメージです。観光関連の事業者も市民も、この状況を脱すべく大変な思いをしています。面積約29.6平方キロメートル、人口約7万2,000人と、市としては小規模な太宰府市。だが毎年、市の人口の100倍を超える年間800万〜1,000万人の観光客が訪れるという。その太宰府市では、新型コロナウィルス感染症の影響で、この春の観光客数が前年比96％減にまで落ち込んだ。コロナ禍の収束が見通せないなか、どのような策を講じていくのか。市の重点施策とともにうかがった。リーダーインタビュー14太宰府市福岡県太宰府市長楠くす田だ 大だい蔵ぞうさん令和発祥の都に相応しいまちづくり06
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