ZENTOKU 2021年夏号
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す。沖縄県全体が人口150万人で年間の観光客は1000万人、約6倍強ですから、いかに観光に頼った村かを察していただけるでしょう。 その年間10万人の観光客が2020年は5万人に半減しました。沖縄本島とは通常、日に高速艇2便、フェリー1便で繫がっていますが、昨年のGWはすべて欠航にしました。島の医療は医師1名・看護師1名と脆弱で、緊急輸送は役場や消防団で対応する覚悟です。まさに、「島に感染症を入れてはいけない、しかし観光客がいないと島民は生きていけない」なかでの苦渋の決断でした。結局、昨年のGWの観光客は97%減。住民の方々もその事情をよくご理解くださって、緊張感と自分では何ともできないもどかしいなか、困惑するなかでも「よくやった」と評価いただきました。 そして、今年のGWも、直前の緊急事態宣言でキャンセルが相次ぎ、住民の生活も行政も2年続きで大きな打撃を受けています。   ここ 年、移住人口が急増する―観光とともに、最近は移住もブームになっていますね。 実は村の小学生の約7割の親が、お父さん・お母さんのどちらかが島外出身者です。この10年ほど、県外からの移住も20代を中心に増えました。民間のアパート等はもともと少ないので、村としては住宅の用意がやっと追いついてきた状況です。行政としても大きな社会課題と受け止めています。―移住される方々へのアドバイスは何かありますでしょうか? 島には世界に誇れる自然景観があるといっても何でも揃っているわけではありません。医療も脆弱です。全部があるわけではないということをご理解いただき、〝島の時間〟に合わせるような感覚でお越しいただきたいと思っています。―ところで、気分転換はどのようにされているのでしょう?INTERVIEW今年、開催が見送られた座間味ヨットレース。沖縄県では最も歴史のあるレースの1つ。 ウォーキングのほか、最近は新型コロナ感染症の影響でままなりませんが、村の職員や外部の方々と飲んだりコミュニケーションをとったりするのも大好きです。沖縄県の離島振興会、過疎地域振興協議会などの会長も仰せつかっていますので、実は沖縄本島や県外への出張も多く、島内にいることは少ないです。でも、島にいたら、仕事が終われば職員を誘って「とりあえずオリオンビール」です(笑)。―最後に、今後の郵便局に期待することを教えてください。 島内に金融機関は郵便局しかありません。その意味でも重要性は高く、また、郵便局と村の連携協定における村民の見守り活動も重要です。 職員数も約30名と小さな自治体で、目の行き届かないところもあります。それだけに郵便局には細かな、小さな情報でも入れていただけるのは本当にありがたい限りです。これからも島に根づいた活動を期待しています。「観光はもちろん移住ブームへの対応も、島嶼振興の大きなチャンスです」(宮里村長)1007

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