ZENTOKU 2022年夏号
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「郵便局長=防災士」で、地域の防災・減災に取り組む   「郵便局固寧倉化」の  ネットワーク化へ地域の安心・防災士局長安全を守る防災の面から地域を支える郵便局  「固こ寧倉」という非常用備蓄倉庫をご存じでしょうか?姫路地区会の地域には、1993(平成5)年に法隆寺とともに日本で初めて世界文化遺産に登録された姫路城があります。2009(平成21)年から始まった約6年に及ぶ平成の大修理を終え、現在、一般公開されていますが、姫路城周辺には城下町の歴史的名残がそこかしこに残ってねいそう私が所属する近畿地方郵便局長会を今に伝える「固寧倉」 います。固寧倉もその一つです。江戸時代の後期、姫路藩に設けられた固寧倉は、飢きん饉や自然災害といった非常時に備えるため、地域住民が自ら穀物を出し合って備蓄し、姫路藩が制度として体制を整えました。最盛期には藩内288ヶ所に設けられ、住民が自発的に備蓄を行ったことから「民と官(藩)とのパートナーシップ」が図られ、天てう保の大飢饉*等災害時に有効に機能したと伝えられています。現存する固寧倉は穀物の貯蔵という本来の役割は終えていますが、先進的な防災対策を進めた先人の気概を今に残すものとして保存されています。今も、地域の住民の方々には「防   き      災」に対する意識が根付いていますが、時代の経過とともに薄れていくことは否めません。んぽ姫路地区会では、阪神・淡路大震災をきっかけに「防災士制度」が発足したことから、以来「なぜ郵便局長が防災士になるのか、なぜ防災に取り組むのか」というテーマのもと、地域の防災・減災に取り組んできました。しかし、「郵便局長=防災士」が地域の方々にとってあまり認識されていないため、どうすればご理解いただけるのか、その方法を探っていました。その過程で「固寧倉」の存在に気づき、その歴史を調べたところ、郵便局の誕生と相同性(=民と官とのパートナーシップ)があることに気づき、固寧倉を礎とした「郵便局固寧倉化」に、積極的に取り組むことにしました。2012(平成24)年度に「姫路地区会非常用備品管理運用規定」を設け、以降、災害時に役立つ物品の備蓄をスタートさせ、姫路市内に87ある郵便局の「固寧倉化」を進めています。現在の備蓄物品は軍手・タオル・ヘルメット・防寒アルミブランケット・アルファ化米等でまだまだ十分な内容ではありませんが、少しずつ内容を充実させるとともに、この動きを拡大させて企業や団体、近隣の商店と連携し、地域全体に広がる大きな「固寧倉ネットワーク」の構築に取り組んでいるところです。*天保4(1833)年に始まり、1835年から1837年にかけて最も深刻化した  飢饉。江戸時代の三大飢饉の一つ。1839年(天保10年)まで続いた。自然災害により起こりうる全ての事象に対応するのは不可能です。地域によって起こりやすい災害も異なります。しかし郵便局が「地域防災の拠点」とならなくては、という私たちの思いは、全国の郵便局長が持っています。私たち郵便局長は、強靭な地域づくり・社会づくりに向け、地域との共生を目指します。 郵便局固寧倉化計画 「民と官とのパートナーシップ」14姫路市野里の固寧倉消防局と連携し開催した普通救命講習の様子。姫路地区会では、5名の会員が普通救命講習普通員の資格を取得。最新の知識を講習参加者に伝えている。姫路市姫路峰相郵便局671-2242兵庫県姫ひめじ路峰みねあい相局長田たなびき靡 征せいゆう勇

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