ZENTOKU 2022年夏号
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書家・俳優緒形幹太さん2022年7月発行 編集・発行 全国郵便局長協会連合会 〒106-0032 東京都港区六本木1-7-27 TEL:03-3585-5023 http://www.postmasters.jmagazine  pPostmasters 広報ZENTOKU父・緒形拳は、多くを語る人ではありませんでした。撮影で家を長く空けることが多かったので、よくロケ地などからはがきをくれました。私が返事を出すと、持ち帰ったはがきを添削して「こう書くものだ」と教えてくれました。出来不出来ではなく、父の俳優仲間には「さん」をつける、といったような教えでした。そして、全て保管してくれていたのです。当時は携帯電話もなく、はがきの往来が通信手段だったのですが、こうして手元に残ったはがきを読み返してみると、当時のことが蘇ってきます。改めて父の思いも感じることができますね。あの人に贈りたい1枚のはがき今、誰かに伝えたい「思い」はありませんか?はがきや手紙の好きな著名人に、「あの人に贈りたいはがき」を披露いただきながら、心に残る1通のはがきや手紙にまつわるエピソードを語っていただきます。第一回目は、書家であり俳優でもある緒形幹太さん。幹太さんが贈りたい「思い」とは─。ならやまぶしこう せいけんしあおやぎたかしやますずりてん写真撮影:斎藤芳弘栁貴史氏と「山緒形拳さんが『楢山節考(1983)』の撮了後、山奥のロケ地から帰宅する際に家族に送ったはがき。『楢山節考』はカンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞した。家では拳さんを「チー(父)」と呼んでいた。緒形幹太さんが贈りたい1枚のはがきは、亡き父緒形拳さんに宛てたもの。現在、書家としての活動に軸足を置き、制作に力を注ぐ。おがた・かんた1966年、緒形拳の長男として神奈川県横浜市に生まれる。雅号はかんざん幹山。2014年より父の遺した道具で筆を執り始める。2020年東京・神田にて製硯展」を開催。映画「高瀬川」の撮影で訪れた島根県匹見地方の街の店舗や小学校、消防署などの看板に揮毫し、手がきによる町おこしも行っている。神奈川県南足柄市のミュジアム・フロムウインズ(0465-74-1559)で個展を開催(2022年8月20日(土)〜2023年1月29日(日)の木曜〜日曜)。硯師の青

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