郵便局の果たす役割も国際化 準備はいつもリニューアル地域の安心・防災士局長安全を守る防災の面から地域を支える郵便局私の勤務している御坊財部郵便局は、和歌山県西側の海岸沿い、ほぼ中間に位置する地方都市「御坊市」にあります。近くには「安あ珍清姫」の伝説*で有名な道ど成寺があり、また世界遺産である熊野古道も現存しており、古えの風情を偲しぶことができます。このように歴史情緒あふれる面を持つ自然豊かな地域ですが、南海トラフによる南んちんきよひめいにし海地震がいつかは発生する地域でもあります。そのため、私たち郵便局長も自治体と協力して、防災関連活動に積極的に関わっています。ここでは、防災士局長として、今の防災に必要だと思う点を述べます。うじょうじ 最近は、御坊市にも、仕事や観光で訪れる外国の方が増えています。郵便局の業務も、外国の方と関わることが多くなり、関係が深まっていくのを感じています。その中で「今災害が発生したら」この方たちは大丈夫だろうかと考えさせられることも起こります。 2023(令和5)年に発生した豪雨は、道路の冠水、交通手段が途絶し大きな傷跡を残しました。その時、郵便局に外国の方が来て「家に帰れない、泊まるところもない。」と助けを求められました。 私が応対して地域が運営する避難所にお連れすることができましたが、土地勘がなく、言語の壁がある状況では、外国の方は容易に災害弱者になってしまいます。郵便局が地域で果たす役割も、国際化していることを思い知らされ、対応力の必要性を感じています。現在では、地区防災計画、自主防災会が結成されて、和歌山県の防災アプリもできるなど、いろいろなことが整ってきています。しかし、どれだけ準備をしても災害が起こったとき、予想もしない状況に遭遇します。〝災害〟はその時が、いつも〝初めて経験すること〟なのです。私は災害対策のための知識はいつもリニューアルしていこうと防災士の仲間たちに訴え、また地域の住民の方々にも呼びかけています。いつか起こる、その時のための~防災・減災のレシピ~14 「列島縦断 防災・減災公開講座 in 和歌山」(日本防災士機構主催/近畿地方郵便局長会協力)で、体験を発表。 8月8日、初めて南海トラフ地震臨時情報が発令されたことに触れ、被災地の詳細な情報についても報告した。NHKレッツスタディ防災(訪日外国人対象)にて講師として参加* 平安時代の伝説。参拝の途中、一夜の宿を求めた僧・安珍に、清姫が恋の炎を燃やし、裏切られたと知るや大蛇となって安珍を追い、最後には道成寺の鐘の中に逃げた安珍を焼き殺すという縁起(物語)。能楽、歌舞伎、人形浄瑠璃で演じられ続けている。ボランティアセンター設置訓練和歌山湾 の 御坊財部郵便局和歌山県〒644-0011和歌山県御ごぼうたから坊財部郵便局長武たけい井 寿としき樹●〶
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