ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

龍馬郵便局(高知県)

日本で唯一、実在する人物の名前がついた郵便局

高知が生んだ幕末の英雄といえば、坂本龍馬。龍馬の生まれ育った町、高知市上町には、全国で唯一、実在する人物の名前のついた郵便局があります。その名も、龍馬郵便局です。

以前は上町一郵便局と称したこちらの郵便局は、1999年8月に名前を変更。高知市や郵政局(当時)、地域住民や龍馬の親族などが協力し合い、約3年の月日をかけて実現したといいます。

龍馬郵便局があるのは、龍馬生誕の地から歩いて5分とかからない場所。そのため、坂本龍馬ゆかりの地を回る観光客の間では、外せない観光スポットとなっています。中には子どもに「龍馬」と名付けた親子連れなど、全国各地から毎日10人以上の観光客が同局に足を運びます。ここ数年は歴女ブームもあって、女性グループの来局も多いそうです。

多くの龍馬ファンが訪れる観光スポットに

さて、龍馬郵便局を訪れる人々を出迎えるのは、入口にある高さ2m以上の龍馬の銅像です。その迫力に驚きながら、龍馬と一緒に記念撮影するのがお決まりのコースなのだとか。

しかし、「龍馬」はこれだけではありません。窓口を通して手紙やハガキを出すと龍馬像が描かれたオリジナルの消印を、窓口で預金すると通帳に坂本家の家紋入りのスタンプを押してくれます。そして待合室には「龍馬コーナー」を設け、改称時の記念台紙をはじめ、龍馬ゆかりのグッズを見られるようになっています。

観光客の多い龍馬郵便局では、接客にも工夫を凝らしています。

まずは笑顔とあいさつ。「第一印象は3秒で決まる」といわれることもあり、明るく親しみやすい雰囲気を心がけ、大きな声でお客様を迎えます。「どちらからいらしたんですか?」と話しかけるなど、会話のキャッチボールを楽しみます。また、観光ボランティアの方に話を聞いたり、地元の話題の新聞記事を切り抜いたりして街の情報をこまめにチェック。時にはお客様のリクエストに応じておすすめの飲食店をご案内するなど、コンシェルジュのような役割を担うこともあるそうです。

そうした地道な取り組みが評判につながり、旅を終えたお客様の口コミなどでまた新たな観光客を呼ぶ、といった好循環につながっています。

地域ぐるみでつくる居心地のよい郵便局

一方で、地域のお客様にもしっかりと目を配ります。フレンドリーな接客が喜ばれ、あえて龍馬郵便局に足を運ぶというようなファンを獲得。リピーターを確実に増やしています。

また、居心地のよい郵便局づくりに地域の人々が協力してくれることも。週に1度、近所のお花の先生が、カウンターなどに生花を活けてくれています。5月はカーネーション、6月はアジサイというように、その時期のお花が飾られるだけで局内には季節感が。足を止めてご覧になるお客様もいらっしゃるといいます。

もちろん、地域に根ざした活動も欠かしません。例えば、毎年11月に上町で行われる龍馬生誕祭では式典の受付を務めるなど、円滑な運営に局をあげて協力しています。地元の婦人会の活動にも局長が自ら参加し、地域の人々とのよい関係づくりに力を入れています。

生前、相当な筆まめだったという坂本龍馬。上町を訪れたときは、龍馬にあやかり大切な誰かへ手紙を送ってみてはいかがでしょう。

大きな龍馬の銅像と局員たちの笑顔が迎えてくれます。