ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

前橋平和郵便局(群馬県)

利用者が快適に過ごせる局舎に

群馬県の県庁所在地である、前橋市。街の中心である前橋駅から少し離れた住宅街に、前橋平和郵便局があります。昭和9年(1934年)7月に開局したこちらの郵便局ですが、2004年には局舎の建て替えを行いました。

局長さんは「郵便局は誰のものか」ということを徹底的に考えた末、利用者である地域の人々が快適に過ごせるようにと平屋建てにすることを決意。設計士と何度もやり取りを重ね、壁面と屋根の配色はシックに、ふんだんに用いた木材の風合いと三角屋根がやさしい雰囲気の局舎をつくりあげました。

また交差点の角に建っていることもあり、待ち合わせ場所に使われることも多く、まさに街のランドマーク的な存在です。

街のみんなでつくる音楽祭

前橋平和郵便局では、毎年10月に「歌声のつどい」という音楽イベントを行います。会場は、車を4台ほど停められる駐車スペース。「青い山脈」などの懐メロを中心に、集まった人たちが地元のアコーディオンサークルの皆さんの演奏に合わせて唄います。

昨年(2015年)は、近くにある中学校の吹奏楽部が、今年(2016年)は近くに住むバイオリン奏者も参加予定などラインナップが充実。コラボ演奏も予定しています。昨年は、中学生にとっては地域の大人たちとの貴重な交流機会になるため、顧問の先生も快く応じてくれました。

地元の皆さんは、会場の設営にも協力的です。当日用意する観客席は公民館から椅子を借りるのですが、その運搬にはすぐ近くの電気屋さんがお店のトラックを貸し出してくれます。イベントを通じて、街の人たちとのつながりの輪が広がっていきます。

今では近所の皆さんにとっておなじみのイベントとなり、夏の終わりには「今年はいつやるの?」と聞かれることもしばしば。郵便局が歌声に包まれる1日になるそうです。

展示作品からポストカードを商品化

現在の局舎に建て替えて以来続いているのが、局内ギャラリーです。ゆったりとした空間を活かして地域に住む人々のアート作品やコレクションを展示し、開始以来105回を数えます。展示物は書道や絵画などの作品ほか、明治から昭和にかけてのレトロ年賀状コレクションまで、実に多彩です。

展示だけではなく、時には「押し花ワークショップ」を開いたりするなど、郵便や貯金などを利用しない時でも気軽に郵便局に足を運んでもらう機会になっています。

ギャラリー展示が商品開発につながったこともあります。あるペン画作家さんによる群馬県内の駅舎コレクションを展示した際、「前橋の街の絵葉書」を思いつき、作家さんに提案しました。2種類のポストカードセットをつくり、1000部限定で前橋市内の郵便局で販売したところ完売に。好評につき、追加販売を行うほどの人気の商品となりました。

前橋に住む人たちの「よりよい街づくり」の一助となればという思いで、日頃から地域とのつながりを大切にしているという前橋平和郵便局。

その心意気は、“ピースフル”に満ち溢れています。