ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

岡山島田郵便局(岡山県)

コンパクトなつくりでも利用客が使いやすく

「晴れの国」といわれる岡山県のメインタウン、岡山駅から歩いて15分ほどのところにある島田本町、中島田エリア。新幹線を使えば大阪や広島までのアクセスは1時間かからず、利便性も高いため、ファミリーやシニア層に人気の住宅街です。今もマンションやアパートが次々と建てられています。

そのようなこの町にかつて田んぼが広がり、ところどころに鉄工所があった時代から続くのが、岡山島田郵便局です。開局は昭和14年(1939年)の5月。近くの郵便局が空襲で焼失したのをきっかけに、新たに開局されたといいます。

現在の局舎は1983年に建てられました。当時のトレンドだったコンパクトなつくりは、今の時代にはちょっと手狭に。しかしお年寄りの利用客も多いため、椅子や低めのテーブルをフロアに設置し、座って利用できるように工夫しています。

あそこに行けば、何かある

岡山島田郵便局が最も大切にしているのは、「あそこに行けば、何かある」と地元の人たちから頼りにされる存在になること。町の情報を得られたり、ちょっとした困りごとにも相談にのってくれたりと、郵便局が提供しているサービスとはまた違った価値を届けたいという思いで運営しています。

例えば、駐車場にある掲示板は、最も気軽な情報ステーション。「子犬の里親募集」など、近所の人の身近な情報も届けています。

また、スタッフたちの接客にも力が入ります。気持ちのいいあいさつを基本に、誠実な対応でお客さまとの信頼関係を築きます。スタッフたちから「どうですか?」と様子をたずねるのではなく、町の人から「今度○○があってね…」と話し始める関係を理想に、一人ひとりが何を地域に提供できるかを考えて行動することを意識しています。学生時代の経験を活かして、地域の人に卓球を教える若手のスタッフも。これも、町の人たちからのリクエストに応えたものです。

ラジオ体操と清掃活動で地域と密な関係を

局内で地域密着の運営を最も体現しているのは、やはり局長です。先代局長と同様に自治会長や民生委員を務め、町の人たちの暮らしを支えています。


日課となっている活動のひとつに、ラジオ体操があります。家にこもりがちなお年寄りが外に出る機会をつくろうと、10年前から始めた取組みです。朝6時半に15人ほどのメンバーが集まって身体を動かします。参加者の中には「血圧が下がった」など、健康面での効果も現れているとか。楽しみにしている人も多く、日曜日と年末年始を除いて毎日行っています。

そして体操のあと、局長は毎朝1時間ほど歩きながらの清掃活動も続けています。ゴミを拾いながら、すれ違う人たちとあいさつを交わし、馴染みのご近所さんとの立ち話では、細かな町の情報をキャッチすることも。体調のすぐれないお年寄りの話や、道が崩れているなどの情報を聞いては、関係各所との取り次ぎも引き受けています。

最初は局長1人で始めた朝の清掃活動とあいさつですが、その様子を見ていた近くの事業所のみなさんも参加してくれるようになり、地域の人との関わりがより深まったそうです。


地域の人たちに愛される存在に――岡山島田郵便局設立時の思いは、今も絶えることなく受け継がれています。