ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

屋島郵便局(香川県)

歴史が刻まれた独特な地形を描く島

香川県の県庁所在地である、高松市。その東北に、瀬戸内海に向けて突き出たように位置するのが屋島と呼ばれる半島状の島です。もともと屋島は1つの独立した島だったものの、島の周辺が埋め立てられ、屋島と四国本島をつなぐたくさんの短い橋が架けられたことで半島のように見える不思議な地域です。

古くは白村江の戦いの後に大和朝廷が城を築き、平安時代には源氏と平氏が一戦を交えた「源平合戦」の舞台となった屋島は、数々の古代遺跡や戦跡が豊富です。また南北5kmにわたり、山頂が平らで独特な形をした屋島は、国の史跡・天然記念物にも指定されています。

110年以上の歴史を誇る郵便局

その屋島に、110年以上の歴史を誇る郵便局があります。その名も「屋島郵便局」。明治38年(1905年)に潟元郵便取扱所としてスタートし、大正9年(1920年)に村名改称をきっかけに名称を変更しました。潟元郵便取扱所を始めた頃は、一昔前、町角でよく見かけた煙草屋さんのように、お客さんは外に出たままで切手やはがきを購入していたのだとか。胸の高さほどもあるカウンターなど、当時の建物は歴史建造物としてつい最近まで残されていたそうです。そして現在の局舎は3代目。こちらも竣工から40年近く経ち、時代の流れを感じさせます。コンパクトな可愛らしいつくりは、親しみをおぼえる存在です。

一人暮らしのお年寄りの命を救う

1日に100人ほどの利用客が訪れる屋島郵便局ですが、「ちょっと寄ってみた」と社員と話すためだけにやって来る人もいるとか。常時4人で運営している屋島郵便局は、社員全員、地域の人気者です。中でも、やはり局長の存在は別格。局長となって32年の間、徹底して地域に寄り添い続けてきました。

例えば就任時から続けているのが、お年寄りの見守りです。ふるさと小包やゆうちょ銀行などのパンフレットを片手に、一人暮らしをしているお年寄りのもとを定期的に訪問します。遠く離れて暮らすお年寄りのご家族とも電話番号を交換し、異変を感じた時はすぐに連絡。認知症サポーターの資格も取得し、地域の包括センターとの連携をさらに深めています。また時には、体調を崩した本人から「助けてほしい」と連絡が来ることも。病院まで付き添ったところ、診断で熱中症にかかっていたことが分かり、貴重な命を救ったこともあったそうです。

「屋島の探しもの、一緒に見つけます」

局長の活躍の場は他にもまだまだあります。町の老人ホームの第三者委員として、運営企業と入居者との橋渡しをしたり、商業振興会でオリエンテーリングとバードウォッチングを組み合わせたイベントを企画したり。夏休みには町の子どもたちと一緒に史跡を訪ねて屋島の歴史を探り、お年頃の男女が集まれば縁談を組むなど、驚くほどの行動力で地域に住む人々を元気にしています。

「屋島の探しもの、一緒に見つけます」というのは、局長のキャッチフレーズ。まさに、“町のお父さん”と呼んでも過言ではありません。

屋島を訪れたら、局長と一緒に探しものを見つけてみてはいかがでしょうか。