ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

足立柳原郵便局(東京都)

金八先生のロケ地となった地域

30年以上にわたり、お茶の間で人気を博したTVドラマ、『3年B組金八先生』。オープニングでは、すがすがしい表情で金八先生(武田鉄矢さん)が歩く、朝日がまぶしい荒川の土手が印象的です。その荒川のすぐ近く、住宅街の一角に足立柳原郵便局はあります。

ドラマでも時折見られた戦前から続く街の面影を残すこの界隈で、今年(2017年)開局77年を迎えたという同局。現在は、生まれも育ちも地元の郵便局長が局を切り盛りします。女性局長ならではのきめ細やかなサービスは地元のお客さまからは大変喜ばれています。

地域の人たちとつくる、オリジナルのツアー

この地域は長くこの地に住み続けている人が多く、お客さまは高齢層が中心です。一人で暮らすお年寄りも少なくありません。このため足立柳原郵便局では、年金受け取りにゆうちょ銀行をご利用いただいているお客さまを対象とした活動を続けています。

「足立郵ゆう友の会」と呼ばれるこちらの活動、イベントには足立柳原郵便局のお客さまだけでなく、近隣にある別の郵便局を利用されるお客さまも参加しています。

そして友の会でもっとも人気のあるイベントが、1泊2日のオリジナルバスツアーです。これまで長野の上諏訪や静岡の焼津、栃木の湯西川など、人気の観光地を訪れました。旅の企画はお客さまである友の会の会長や副会長を交え、地元の旅行会社の協力を得ながら練り上げます。しかし、一般的なツアーと違い、観光地をめぐるだけで終わりません。友の会ならではの企画は、夜に行われる“宴会”にあります。

一人で参加してもみんなが仲良しに

豪華な会席料理に舌鼓を打ちながら、参加者たちが宴会芸を見せる頃には盛り上がりもピークに。ダンスが趣味の参加者は衣装に身を包んでステージでお披露目を、また歌自慢は、豪華賞品を揃えたカラオケ大会で美声を披露します。ツアーをアテンドする郵便局のスタッフは、かつらとメイクで女装にチャレンジ。いつもと違う姿にビックリしながら、誰もがお腹を抱えて大笑いする瞬間です。

一人での参加も多いというこのツアーでは、全ての人が楽しめる配慮に溢れています。お風呂では背中を流してあげたり、参加者同士の相性を考慮しながら部屋割りを考えたりと、きめ細やかにケアします。そうした取り組みが功を奏し、ツアーの終わり頃にはみんなが仲良しに。その後、郵便局で顔を合わせた時、お客さまたちが話に花を咲かせることもよくある光景です。

会員が地域のイベントで活躍

友の会での縁が、地域のイベントにつながった例もあります。足立柳原郵便局では2016年の秋に、近くの病院で行われた「健康まつり」で絵手紙教室のブースを設けました。このとき絵手紙の講師を務めたのが、友の会のイベントの常連さんです。参加者はテーブルの上にある画材を自由に使って、講師のアドバイスを参考にしながらはがきに色を重ねます。終始ブースには子どもや大人が集まり、100人以上の参加者が思い思いに作品をつくり上げていきました。運営に携わった郵便局の社員もこのイベントを通じ、地域の手紙文化を培う中で、地元の人たちの存在を心強く感じたといいます。


お客さまととことん近づき、新たな地域の結びつきを築いていく足立柳原郵便局。同局の取り組みは、これからより地域の高齢化が進む中で、ヒントになるかもしれません。