ユニークな郵便局大集合

日本全国の変わった郵便局、面白い取り組みを行っている郵便局をご紹介します。

横浜美しが丘四郵便局(神奈川県)

四つ葉のクローバーで局名をアピール

東京のベッドタウンとして知られ、ファミリー層を中心に人気の高い街、たまプラーザ。かつて社会現象ともなった話題のドラマ『金曜日の妻たちへ』の舞台として知られ、百貨店やショッピングセンターが立ち並ぶ駅前から少し歩くと、閑静な住宅街が広がります。中でも洗練された戸建ての住宅が立ち並ぶ地域に建つのが、横浜美しが丘四郵便局です。

局名にある”四“とは、郵便局がある四丁目を表したもの。町名である「美しが丘」の名を冠した郵便局が近隣に複数あり、混同するお客さまがいるのも事実です。そこで美しが丘四郵便局で使う名刺には、クローバー型のパンチ穴を開けています。最初は名刺に穴を開けることに抵抗があったそうですが、お客さまの反応は思いのほか好評でした。郵便局の名前を覚えてもらうことはもちろん、受け取った人をラッキーな気分にしたり、四つ葉から新たな話題が生まれたりと、一石二鳥、それ以上の効果を実感しているといいます。

窓辺いっぱいの、常設の展示コーナー

二つに重なる片流れの屋根が特徴の局舎のロビーに足を踏み入れ、窓辺側に目を向けると、大きなパネルがいくつも並んでいます。美しが丘四郵便局ではさまざまな展示物が飾られ、訪れる人の目を楽しませているのです。

常時5つほどの展示をラインナップしており、その内容も充実しています。絵手紙教室の作品や、アマチュアカメラマンの写真展に加え、圧巻は2万枚以上の年賀状コレクターでもある、高尾均さん所蔵のアンティーク絵葉書展。明治から昭和にかけて活躍した漫画家のものや、20世紀初頭のヨーロッパで販売されていたものなど、滅多に見られない貴重な作品を毎回異なるテーマで展示しています。

市民の創造的な活動を知ってもらう機会にも

展示はこうした作品だけに限りません。市民活動が活発な地域でもあり、地元のコミュニティカフェにはクリエイティブな取り組みをしている人たちが集まります。そこでつながりができ、何気ない雑談から生まれた展示もあるそうです。

例えば地元の有名人、歴史探偵 高丸さんによる「たまプラ知っとこ散歩」は、四半期ごとに切り口を変えながら、開発前のたまプラーザの歴史をさかのぼるコーナー。過去の地元の姿や出来事に関心を寄せるお客さまも多いといいます。また「美しが丘の好きな場所」をテーマに、住民のインタビューをまとめたアート冊子『街のはなし』を紹介する展示も、局長が制作プロジェクトに参画したことをきっかけに実現した企画です。

展示コーナーは、地域の人々の取り組みを伝える場でもあるのです。

発信の連鎖で地域活性化

逆のケースもあります。地元メディアの編集長との出会いをきっかけに、局長がフリーペーパーに連載を持つようになりました。手紙やはがきの面白さを伝えるコラムを担当し、最新号では展示でおなじみの絵手紙教室について取り上げました。初めて絵手紙づくりに挑戦した局長の作品を紹介したところ、大きな反響が。局内にも作品が展示されると、「どれを局長が描いたの?」と多くのお客さまから聞かれたといいます。読者に絵手紙教室の存在をアピールでき、ここでも地域の情報を発信することができました。

現在、展示スペースが1カ所空いていますが、そこでは、トレンド性の高い地域の取り組みを紹介したいと考えています。街にはまだまだ、興味深い活動をしている人がたくさんいるためです。

横浜美しが丘四郵便局は、魅力たっぷりのたまプラーザの話題で、今日も訪れる人をワクワクさせています。


(取材・執筆/たなべやすこ)